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東玉垣町の“誇り“「牛頭天王社春祭」そして「唐人踊り」

最終更新: 2019年7月30日



 2019年4月、平成最後かつ令和元年度にあたる「牛頭天王社 春祭」が鈴鹿市東玉垣町で行われ、その中で江戸時代の朝鮮通信使の文化を伝える東玉垣町の「唐人踊り」も奉納された。かつては7月14日に奉納されていたそうだが、現在は毎年4月の第一日曜日の「牛頭天王社 春祭」で奉納されている。


 「牛頭天王社 春祭」の起源は、平安時代と思われる装束文化がみられるそうだが(東玉垣唐人踊り保存会 和田佐喜男顧問)、記録としては「丙文化十三年 子正月吉日(文化13年、1816年)」と記された太鼓により、その時期には、「唐人踊り」を含めて行われていたと推定されている(唐人とは、江戸時代当時、外国人を指していた)。

 昭和13年(1938年)の記録によれば、須賀社(牛頭天王神社)から東安寺まで、約70人あまりの練り行列が行われ、当時の行列は、「壱萬度・四神・鉾・大祢宜・口取・御獅子・跡舞い・笛・太鼓・舞姫・笛・太鼓・神輿・神輿係・警護・台持ち・唐人・はやし連・屋形」。戦争により中断されたが、復活。昭和43年(1968年)に「東玉垣唐人おどり保存会」ができ、現在の和田佐喜男顧問や、踊りの指導にあたる野口新一指導員、東玉垣町の皆様の努力によって、「牛頭天王社 春祭」と共に現在もその文化と伝統が受け継がれている。


 今年の「牛頭天王社 春祭」は、4月7日日曜日の13時、牛頭天王神社(須賀社)拝殿前での式典からスタート。宮司を中心に一同が揃い、供え物を捧げる。神社の森には、和田顧問の奥様が作られたと聴く「唐人人形」が連なる。ここで面をつけた3人の唐人がどこからともなく登場し、朝鮮通信使の文化を思わせるラッパを吹いたり、ドラを鳴らしたり、団扇を使ったりしてお子さんを驚かせたりするのだが、踊りの奉納はここから先。

 神社を出発した神輿行列は、にぎやかなお囃子と、ユーモラスな唐人を交え(唐人に触れられると幸せになると言われている)、東玉垣町内を練り歩く。かつては担いでいたという神輿には現在は車輪がついたものの、笛や太鼓を奏でつつ進む雅(みやび)なお囃子の方々の姿と苦労は変わらないのだろう。15時前後に東安寺に到着。この東安寺にて、獅子舞のあとに、第一回目の「唐人踊り」の奉納が行われる。


 今年初めて拝見させて頂いたが、とても活気ある奉納。東安寺の境内は狭いが、威勢のよい掛け声が飛び交う中、活き活きとした獅子舞が間近に見られ、奉納交代を含めて45分間の舞踊。地を這い、天に舞う生き物のような獅子舞を表現する2人の演舞も素晴らしいが、獅子舞をおさめる一人を演じる可愛らしいお子さんも、自分の動きと相対的な獅子舞の動きを覚えきっており、太鼓を一人で打ち続けた女の子も素晴らしかった。



 獅子舞に続いて「唐人踊り」の唐人3名が登場。東玉垣の町衆が3名の奉納を見守りつつ、伝承されてきた歌をここで一緒に口ずさむところに世代を超えた一体感を感じた。ある時は腰を落とした田植えのような、ある時はネコのしぐさのような、またある時は高く飛び上がりつつ、時には威勢のよい掛け声に押されてお寺の拝殿にも駆け上がる唐人たち。かつては男性だけに許されていた唐人も、今は中学生たち(女の子も)が舞うとも聴いたが、約15分の奉納はダイナミックで素晴らしかった。今年の拝殿には鈴鹿市の末松則子市長の姿もあり(以下、市報)、社会学習から舞・演奏まで3年生に体験学習をさせておられる地元の玉垣小学校の米川寿美校長はじめ学校関係者、父兄の方々も温かく見守っておられた。

http://www.city.suzuka.lg.jp/cgi-bin/mayor_activity.cgi?p=5


 続いて、南側の蓮花寺の広い境内にて二回目の奉納。ここには、唐人踊りを戦後に復活させた保存会の立役者、療養中の和田佐喜男顧問が奥様に支えられて来られていた。和田顧問は体調の優れない中、ピースロード2018企画で「東玉垣町唐人踊り復活50周年」をかけて「東玉垣町唐人踊りと朝鮮通信使展」の講演をして下さった方である。

 「佐喜男さんが見てるぞ!」威勢のよい掛け声とともに、唐人の踊りにも熱が入る。杖をつかれた和田佐喜男顧問を前に、東安寺では踊りの途中で拝殿に駆け上がった唐人が、蓮華寺では和田顧問に駆け寄る姿に、個人的にはこの日一番感動した。



 拝見できたのはここまでだったが、さらに17時には集会所にて三回目の奉納。ここでは稚児舞なども奉納され、19時からは神輿が集会所から町内を行きつ戻りつしながら、20時には、御神体を神殿から神輿へ移す「お神移し(渡御)」が行われ、特設舞台でフィナーレの獅子舞と唐人踊り(四回目)が、神殿の前では稚児舞が奉納され、この日は21時に終了。翌日20時から、神輿から神殿への「お神移し」も行われる、二日間かけて丁寧に町内数か所での奉納や「お神移し」の行われる伝統的なお祭りである(東玉垣唐人踊り保存会 和田佐喜男顧問のご子息、和田康男さん)。

 この日は、東玉垣町だけでなく、多くの観光客、お祭りに参加する地元の小学生の関係者などが、数か所の奉納を見に訪れてにぎわい、その様子はCNS((株)ケーブルネット鈴鹿)で取材、「ケーブルNews4月9日(火)放送号」でも報道された(ニュースの6:50~あたり)。


 「東玉垣町唐人踊り」は、鈴鹿市の「無形民俗文化財」、三重県の「無形民俗文化財」に指定されている。ラッパ、どら、団扇を持ち、鳥の羽をつけた帽子と喜怒哀楽を表現したと思われる面をかぶった3人の唐人が、中腰になったり、ダイナミックに飛びあがる跳躍をしながら歌と踊りを奉納する姿は、田植えなどの農耕の動きとも言われ、「田植え歌」と思われるような歌もある。


 しかし日本語として解釈しにくい内容も含んでおり、朝鮮通信使の第一人者の故・辛基秀先生によって、江戸時代に来日した朝鮮通信使の行列の文化(楽器が含まれる事が特徴的)が反映された貴重な芸能であることが伝えられた。東玉垣町の伝承では、踊り好きの「ブンヨムサム(ン)」という人物から衣装や道具も贈られたと言われており、「丙文化十三年 子正月吉日(文化13(1816)年」と書かれた太鼓がある事から、その時期には「唐人踊り」があったものと考えられている。また、「ブンヨムサム(ン)」のものと伝えらえる屋敷跡と畑(過去帳によれば文衛門の所有)が現在も残されている。このあたりの内容は、「まほろば」2017年3月16日放送分((株)シー・ティー・ワイ/(株)ケーブルネット鈴鹿)にて紹介されている。


 ご挨拶に伺った和田顧問のご自宅で、故・辛基秀先生の研究を引き継がれた弟子の魏聖銓先生からの贈呈品として、東玉垣唐人踊りの3人を模した文美順さん作による貴重な人形を拝見することができた。文美順さんは、朝鮮通信使のユネスコの「世界の記憶」遺産登録に伴い、朝鮮通信使を500体の韓紙工芸で再現されるなど、韓国では有名な韓紙工芸作家である。ラッパ、ドラを奏で団扇を持つ3人の唐人の様子がとても活き活きと再現されていた(最後の写真は当日実際に境内でラッパを吹く唐人とドラを叩く唐人)。

https://www.sankei.com/world/news/171201/wor1712010026-n1.html

 和田顧問は、自らが当時由来がわらかないながらも復活に尽力された東玉垣唐人踊りが、今もなお日韓友好と親善に貢献している事をとても誇りに思っておられ、喜ばれていた。


 唐人踊りは、かつては10か所以上にあったとされる津市分部町唐人踊り保存会情報)が、現在は全国3か所にしか残っておらず、岡山県牛窓町のほかは、三重県津市分部町(同じく県指定の無形民俗文化財)と三重県鈴鹿市東玉垣町の2ヶ所のみ。全国的に朝鮮通信使関係の芸能が数少ないなかで大変貴重な伝統文化となっている。

 「牛頭天王 春祭」には、貴重な文化・伝統を守り伝えようとする方々の熱い情熱とともに、そこに奉納される獅子舞にも、「唐人踊り」にも、(拝見できなかったが稚児舞などにも)、東玉垣町の方々の“誇り“が込められているのだと感じた。そしてその情熱や“誇り”が、唐人踊りを絵で残された和田佐一郎さんや、それを引き継がれた現顧問の佐喜男さん、康男さん、そしてそのお子さんたちにも、二代、三代、四代と、世代間を超えてきちんと引き継がれている。これらの素晴らしさを、短い時間ではあったが、この東玉垣町の「牛頭天王社 春祭」に関わる様々な方の姿を通じて感じる事ができた。


 今年も世界120ヶ国の人間と人間を自転車でつなぐピースロード2019が始まる。平和への願いを込めて、島国日本は韓国へつなぐ。東玉垣町で感じた人々の文化・伝統への情熱や“誇り”を、世界にも連結したい。(ピースロード2019三重事務局長)



参考:

ピースロード2018

鈴鹿市の朝鮮通信使の宝

鈴鹿市「東玉垣町唐人踊りと朝鮮通信使展」でライダーが唐人に扮する

津市「分部町唐人踊りと朝鮮通信使」講演会開催


鈴鹿市観光協会

http://www.kanko.suzuka.mie.jp/members/b209.html

三重県の文化財

http://www.bunka.pref.mie.lg.jp/Miebunka/mobile/bunkazaiMobile/detail/730905

赤工作久良さん 今は昔の物語7 「東玉垣町 天王山祭」

http://www4.airnet.ne.jp/sakura/blocks_menu/conjyaku_07/tojinodori/gozu_frame01.html

歴史 教育 旅 グルメ 「唐人踊り」

http://www006.upp.so-net.ne.jp/asao/toujin.htm

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